フォント
Porg vol.30 印刷のいろは16より一部修正&加筆
Q フォントで使えるもの、使えないものの違いは何でしょうか?
A 基本的には有料、無料にかかわらず、CIDもしくはTrueTypeフォントであれば使用環境の中に
フォントをダウンロードすることで印刷用のデータとして使用することは可能です。
ただし、フリーフォントのなかにはアルファベットや数字だけのものであったり、
ひらがな・カタカナ、一部の常用漢字しか対応していないものもあるので、
使用目的にあわせてフォントを選択する必要があります。
アルファベットであればA~Zまで26文字を用意すればすむのですが、日本語の場合、ひらがな・カタカナと
漢字の文字種が多い上に、名前や専門用語で使用する異体字などを考慮すると、相当な種類の文字が必要になります。
例えば、フリーフォントで映画ロゴ風のものがあります。
モンスターズインキ風で永和印刷を表現する……

こんな感じになります。アルファベットのみなので、あしからず。
ちなみにこちらは「超厳選! ハリウッド映画タイトル風フリーフォントからダウンロードしました。
では、日本語はというと、「おそ松さん」風のフォントで表現すると……

ひらがな・カタカナと、松と松のマークのみですが、こんな感じです。
こちらは、6つ子フォントというのを使用してみました。
では、どの程度の漢字があれば、目的にあったものかどうかを判断できるのか?
その目安としては、JIS2004での常用漢字の4水準が目安となります。
フォントの説明で「第●水準対応」と記載されているかで判断しましょう。
Q 常用漢字第1水準、第2水準対応ってどういうことでしょうか?
A 日本の文字コード規格であるJIS(日本工業規格)の定義では,漢字を第1(2,965字)、第2(3,390字)、
第3(1,259字)、第4(2,436字)の4水準に分類しています。
いわゆる常用漢字は第1水準に含まれているので、第2水準まで対応となっていればほぼ問題なく使用できる
でしょうが、人名や専門用語などで異体字を使用する場合は注意が必要です。
第1水準と第2水準を合わせると6,355字ですから、日常的に使用する漢字は含まれているのですが、
いわゆる「はしご高」や「たち崎」といった比較的ポピュラーな異体字でも、第2水準にも選ばれていません。
「本来同じ漢字とみなせるもの(異体字)はできるだけ重複収録しない」というJIS漢字の方針で、
「竜」と「龍」などの一部の例外を除いてはそのような傾向にあります。
ですから、人名や文献名、専門用語などで異体字を多く使用する必要性がある場合には、
第3、第4水準にまで対応するフォントを使用する必要があります。
2004年のJISコードの改訂(いわゆるJIS2004)によって「扁」「葛」「倦」などの一部の漢字の字形が変更されました。
それにより、フォントメーカーではいわゆる「N付フォント」(JIS2004対応)を用意しているのですが、
対応できていないフォントもあるため、同一の書籍内でもフォントによっては字形が異なる、
という現象が生まれてしまうことがあります。
どこまでこだわるか…ですね。