戦争末期、永和印刷誕生前の印刷業界についてご紹介しましたが、
その後、なかなか更新できない状況です。
本当なら、今回は永和印刷創業までの記事を更新したかったのですが、
せっかくなので、戦後から現在までの、印刷の発達史の概要を知ってもらおうと、
こんなものをつくってみました。
前回の記事のように、戦時中から1970年代にかけては、活版印刷の全盛期でした。
オフセット印刷はすでに存在していたものの、再現性やランニングコストなどにおいて、
活版印刷の技術のほうが優れていました。
しかし、オフセット印刷機の性能の向上と、写植(電算の前に手動写植の時代があります)やPS版の
発達に伴い、「活版印刷>オフセット印刷」の勢力図が徐々に「活版印刷<オフセット印刷」へと
変貌していきます。
カラー印刷の場合、活版印刷では原色版を利用したシャープな仕上がりに定評があったのに対し、
オフセット印刷ではもともと中間色的な色彩の再現性に優れていたのですが、
フィルム自体の質、色分解による製版技術、PS版・ブランケットの網点再現技術などの向上から
オフセット印刷の優位性が顕著になっていきました。
文字の組版でも、文選という活字棚より活字を拾い組み上げていく技術も進歩していくのですが、
手動写植、さらには電算写植(電算)の登場により、その効率性は飛躍的に向上することになりました。
組み上げた活字は、耐刷性理由、保管上の理由から、紙型という紙製の鋳型の複製を作り、
そこに鉛合金を流して鉛版をつくるのですが
(現在の印刷工程から考えると、ものすご~くたいへんな作業に感じてしまいます)、
製版フィルムからPS版に焼くつけるほうが、時間的にも、コスト的(人的・物的両面において)にも
活版を凌駕するようになっていきました(この工程すら今ではたいへんな作業ですが)。
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懐かしの活版印刷、一部では見直されている?? 活版動画リンクあります
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こうしてオフセット印刷という柱を前提としたプリプレス(組版・製版・刷版)技術が向上し、
相反する活版印刷は80年代以降、下火になり、徐々に姿を消していきます。
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四六全2色両面印刷を動画で紹介いたします 動画!!
次なる大きな変化は、DTP、CTPの登場によるデジタル化とその普及です。
90年代までは電算写植が全盛期で、電算写植機より出力した印画紙を台紙貼りし、
それを撮影・レタッチするいわゆるアナログ製版でフィルムを作製していたのが、
DTPにより、データ上で面付したデータをダイレクトでフィルム出力できるようになり、
CTPにより、フィルムも必要なくなり、ダイレクトで刷版を出力できるようになりました。
日本語の組版の美しさではDTPは電算に勝てないという話もDTPソフトの進化と普及で聞かれなくなっていきました。
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印刷のいろは3 CTP
CTPの出力工程を紹介いたします 動画!!
そして、現在に至る流れですが、パソコンも、Adobeソフトに代表されるDTP関連ソフトも低価格化が進み、
以前のように印刷会社、製版会社、組版会社でないとそのような設備を保有できない、といった導入のハードルが
低くなり、RIP処理(網点化)より前工程のプリプレス段階までに限っていえば、設備面における
印刷会社の優位性がなくなってきたといえます。
この流れのなかで印刷会社の方向性は二つに分かれてきています。
一つは印刷(RIP処理以降)に特化する、いわゆる刷専(印刷専門)路線。
つまり、支給(送信)されたデータを効率的に処理し、いかに安く速くするかを追求していくこと。
もう一つは、特定の専門技術をより磨き上げる、いわゆる特化路線。
特化の方向性はさまざまで、表面加工技術、印刷機の大型化、画像処理技術力などが挙げられます。
永和印刷は後者に該当し、医学書の編集・原稿整理、組版・デザイン、画像処理の技術をウリとしています。
と、文字で書くのは簡単なのですが、
編集も、DTPも、営業も、常に自分たちの腕を磨く必要があり、
一見のんきそうな彼ら(↓)も日々がんばっています。
次回以降、こういった流れのなか、永和印刷の歴史を振り返ってみたいと思います。
……ちゃんと更新したいのですが、滞ってしまったらすみません。
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