カラーチップ、カラーガイド(色見本帳)
印刷のいろは、本来は永和印刷の広報紙Progに掲載したものをブログでより詳しく紹介するのですが、
「いろは」が掲載できていない状況なので、今回はブログ用に特別に書きおろします。
Q カラーチップ(カラーガイド)ってどうやって使用するの?
A 基本的には特色の印刷の際の色見本として使用します。通常のオフセット印刷のカラーの場合は、
CMYKの4色の掛け合わせで表現しているのに対し、特色というのはインキそのものをその色に調肉して印刷します。
その色を指定する際の見本がカラーチップ(カラーガイド)です。
カラーガイドはインキメーカーごとにありますが、最も一般的なのは「DIC●●番」という
DICグラッフィクス社製(旧・大日本インキ)のものです。
そのほかにも、東洋インキ社の色見本帳から「TOYO●●番」、
パントーン(PANTONE ※インキメーカーではありません)の見本から「PANTONE●●番」と色指定することもあります。
写真はDICグラフィクス社の標準となる第19版のカラーガイドです。
ちなみに、金色はDIC619(赤金)、620(青金)、銀色はDIC621であり、
その他にも蛍光色や、乳白色、メタリック系など、CMYKのプロセスでは表現が難しい色を表現するには、
特色を使う必要があります。
(DICグラッフィクス社のホームページより引用)
http://www.dic-graphics.co.jp/products/cguide/dic_color_guide_19.html
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Q 特色の種類はどれくらいあるの?
A 特色はインキメーカーに番号や配合を指定して発注する場合と、
CMYKのプロセスインキや金赤や草(緑)・浅黄・メジューム(希釈剤)等を配合して作成する場合があります。
インキを調肉する様子は下記の記事でご覧いただけます
紙に種類や絵柄などによる調整なども必要でそれを加えると種類は限りなく増えてしまいますが、
DICのカラーガイドを基準で紹介すると、
前述のDIC第19版に収載されているのが3冊(1、2、3巻)で652色。
上記の3冊を補完するPART2シリーズ(4、5、6巻)で637色、
それ以外に使用されるものとして「伝統色」シリーズがあり、
日本の伝統色 300色、フランスの伝統色 321色、中国の伝統色 320色、
廃盤になっていますが、プロセスカラーを基準とするプロセスカラーガイド1000(10、11、12巻) 1000色、
すべて合計すると3,200色以上になります。
下の写真はPART2です(上記DIC社ホームページより)
チップをもらったり、番号を聞いた際に、どう特色を区別するかというと、
2000番台であれば、PART2シリーズ、
3ケタの数字の前に
Nがついていれば日本の伝統色(=Nippon)、
Fがついていればフランスの伝統色(=France)、
Cがついていれば中国の伝統色(=China)、
Pがついていればプロセスカラーガイド(=Process)になります。
Q カラーガイドを実際に確認するにはどうすればよいの?
A 頻繁に使用するデザイナー・出版社・印刷会社およびその関連業者であれば、
メーカーから購入して使用されていることと思いますが、
一般企業や個人では費用対効果を考えるとそろえるのはたいへんです。
ですが、便利なアプリがあります。
Mac版、iPad版、iPhone版であれば、App storeより、
アンドロイド版であれば、Google Playなどより無料でダウンロードできます。
iPadの画面↓ (DICグラッフィクス社のホームページより引用)
このアプリ、撮影した画像の特定の部分より色を検出したり、
紙の種類による疑似表示が可能であり、非常に便利です。
ただし、画面でみるのと、実際に印刷したイメージの差はかなりありますので、
指定する際にはチップ(カラーガイド)を添付してもらうように、
関連業者に頼んでおくとのちのちのトラブルを防止できますので、
ぜひ確認するようにしてください。